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私のおススメする博物館



「尚古集成館(Museum Shoko Shuseikan)」

NPO法人ミュージアム研究会 江藤 信一

 鹿児島県鹿児島市にあります「尚古集成館」を紹介します。 薩摩藩第28代当主島津斉彬が取り組んだ、製鉄・造船・紡績などの近代工業化を目指した「集成館事業」の中で、集成館機械工場として建てられた近代様式工場の一つが尚古集成館で、現在、島津藩の歴史を集めた博物館として開かれています。平安末期の初代島津忠久以来、鹿児島の地を治め、戦国時代を経て幕末に至る経緯や、明治産業への貢献など、歴史を追うように展示されています。隣には島津家の別邸と庭園であった仙厳園もあり、雄大な桜島を目の前にした素晴らしい景観も楽しめます。2015年には「明治日本の産業革命遺産」のひとつとして世界文化遺産登録が決定し、2018年は大河ドラマ「西郷どん」でも大々的に取り上げられています。江戸から明治への大きな変革のチカラとなった薩摩の歴史を感じる素晴らしい博物館だと思います。



3世代をつなぐ特別展「こえだちゃんの世界展」

NPO法人ミュージアム研究会 清水麻記

 愛媛県の南、宇和市に愛媛県立歴史民俗博物館がある。都道府県の博物館は県庁所在地に位置する場合が多いが、宇和市は県庁所在地の松山市から高速で1時間ほどの場所にある県立の博物館である。そのためか、これまでの企画展やワークショップなども集客対策をしっかり考えているものが多いように感じる。
 この春の企画展は、「こえだちゃんの世界展」で、特に女の子であれば必ず一度はどこかで遊んだことのある「こえだちゃん」のこれまでの変遷を一挙にたどる展示であった。「こえだちゃんと木のおうち」シリーズだけかと思っていたが、お風呂や学校をテーマにしたものやマイメロディなどの他のキャラクターとのコラボレーションなど、こんなにもたくさんの「こえだちゃん」シリーズがあったのかと驚きであった。
 また、段ボールでできた子どもたちが遊べる「木のおうち」も設置され、男の子も女の子も「木のおうち」の階段や滑り台を楽しんでいた。展示室の最後には、いくつもの「木のおうち」と人形やパーツで遊べるコーナーもあって、子どもたちは親や隣のお友達と会話をしながら楽しんでいた。集客だけでなく、一つのおもちゃシリーズを通じて、40年前に子育てしていたおじいちゃん・おばあちゃん、その時に遊んでいた今のお父さん・お母さん、そして今の子どもたちをつなぐ、良い展示だなぁ、と感じた。展示室を出ると、今の「こえだちゃんシリーズ」を購入できるようになっているのも、抜け目なく、外部団体との連携も博物館ができる範囲で考えられている。「商業施設のキャラクター展示とはやっぱり一味違う展示ができるのが博物館だ」と思わせてくれる「レキハク」、これからも高速に乗ってでも行きたいと思わせてくれる存在でいてほしい。



宇宙、地球、自然、科学、愛媛がぎゅっとつまった愛媛総合科学博物館

OKiDoKi 藤田 智実

 愛媛県新居浜市にある愛媛総合科学博物館。 平成6年にオープンしたこちらの博物館の目玉はプラネタリウムです。当時もすばらしい施設でしたが、平成22年にリニューアルし、ドーム直径30mの世界最大級のハイブリッド・プラネタリウムになりました。今まで再現できなかった小さな星も再現できるようになり、本当に迫力満点!
私はこのプラネタリウムがリニューアルされる前に友人らと初めて来館しました。 入館して、来館者の年齢層の幅広さ、子ども連れの家族の多さに驚きました。 その秘密は、子どもから大人まで楽しめる「常設展示」ではないかと思いました。 「常設展示」は自然館・科学技術館・産業館があり、フロア階ごとに分かれています。 隕石をみることができたり、動く恐竜がいる「自然館」、押したり、引いたり、まわしたり、光や力などの物理現象を体験できる「科学技術館」、愛媛の産業やその歴史を知ることができる「産業館」と、それぞれにテーマ、静動ゾーン、五感を使う仕組みがあるのです。
  これは子どもが夢中になるはずだ、そんなふうに感じた初来館でした。 後に、子どもを連れて家族で何度か訪れましたが、いつも一日ゆっくり過ごせる場所でした。こうやって思い出しながら寄稿をまとめていると、また行ってみたくなりました。



ユニークさいっぱいの実践型「焼畑博物館」への取り組み

一般社団法人海の子 理事 西浦 慎介

 日本の山間地域ではかつて、焼畑農業が盛んにおこなわれてきました。そこでは、興味深い文化がたくさん形成されてきました。中でも焼畑農業の技術からは、当時の人たちがいかに自然と共生してきたかを知ることができます。また食文化からは、森の豊かな食材と食に対するたくさんの工夫を知ることができ、また飢えとの戦いの歴史を垣間見ることができます。
大学教授を退官され、現在、照葉樹林文化研究やツバキの育種に取り組んでいる山口聰先生を中心に、私たちは仁淀川の”緑と清流”を再生する会や一般社団法人山茶小屋などの方々や、松山市のスポーツ俳句の会の方々、愛大農学部OB,OGの方々、たくさんの方々の協力を得て焼畑農業を実践してます。
焼畑農業の実践活動は、愛媛大学のサークル「焼き畑の会」からはじまり、その後地元の「焼畑による山起こしの会」の活動につながり、現在は、高知県吾川郡仁淀川町用居(もちい)に林間園芸研究センターの名前で拠点を設けて活動しております。センターには全国の焼畑農業の歴史や現状を知る資料や、椿山などセンター近隣の焼き畑農業の歴史的資料をたくさん揃え始めてます。また、現在までの現地での焼畑活動のデータを見ることもできます。センターでは年間通して、森を食べて体験する行事をたくさん開催しております。山菜ツアー、茶摘み体験、お茶づくり体験、焼き畑伐開作業、火入れ、収穫、収穫祭、林間合宿などを開催し、自然を体験するとともに、焼畑の暮らしの中での作物の栽培管理と調理、そして、様々な利活用の知恵に接することができるよう、努めてます。今までに、地元の方々はもちろん、関東や関西などの遠方から見学においでの方もあり、焼畑の実践を体験していただいてます。
2018年5月13日には一般社団法人山茶小屋さんの協力のもと毎年恒例となっております山菜ツアーを開催いたしました。タラの芽、ウワバミソウ、ウド、フキなどの山菜、アユ、猪肉などたくさんの食材を持ち寄り、約30名の参加者で森の御馳走を味わいました。6月15~17日には茶摘み行事、7月20~22日には焼き畑予定地の伐開、8月3~5日には火入れ式を、そして10月には収穫、11月には収穫祭ということでそば打ち大会も実施します。
ぜひ、おいしい山の幸、森の恵みを求めて旅がしたくなった際には、実践型焼畑研究を通して「焼畑博物館」を目指しているセンターをのぞいて見てはいかがでしょうか。焼き畑文化を体験し、山口センター長のお話を聞き、日本で最も美しい川に認定された仁淀川ブルーを眺めながら、澄んだ空気と水を堪能しながら、おいしい森の恵みを味わって見てはいかがでしょうか。
林間園芸研究センター
住所:高知県吾川郡仁淀川町用居363
連絡先:flowerbreeder@gmail.com
face book:https://www.facebook.com/forestfarming/
見学料:いりません
定休日:お越しの際はご連絡ください



面河山岳博物館

NPO法人みんなダイスキ松山冒険遊び場 山本 良子

 今回は私たち団体が毎年開催するサマーキャンプの際にお世話になっている面河山岳博物館を紹介します。この博物館は面河渓という景勝地にあります。高知県に流れる仁淀川上流9.6キロメートル(上流域のうち愛媛県側を面河川とも呼ぶ)に亘る渓谷で、周囲を四国山地の高峻な山々に囲まれ、入口付近で標高650メートルに達します。石鎚国定公園、面河・四国カルスト自然休養林にも指定されていて紅葉の名所にもなっています。
 面河山岳博物館は、約3,000点の資料からなる常設展示を行っており、石鎚山や面河渓の地史、石鎚山系に生息する動植物や岩石、石鎚山岳信仰・登山史などを紹介しています。  私たちのキャンプの醍醐味は、面河川のエメラルドグリーンの冷たい水に入り、自然を五感で感じながら遊びこむ自然体験を重視しているところです。遊びこんだ後にこの博物館へ行くと半分以上の子どもが瞳を輝かせて学芸員の話に聞き入ります。自然の不思議を解き明かすかのように、学芸員が子どもたちに自然の凄さを教えてくれます。アブの生態、川の色の不思議、そしてこの渓谷ができた歴史等。私たち大人もワクワクします。心も癒されて、学びも多い面河山岳博物館へぜひ一度遊びに来てください。