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私のおススメする博物館

石橋美術館

石橋美術館の前景

福岡県久留米市にあります「石橋美術館」を紹介します。
石橋美術館は、株式会社ブリヂストンの創業者である石橋正二郎から久留米市に寄贈された石橋文化センター内にある美術館です。1956年より石橋正二郎の収集した美術コレクションを展示していましたが、2014年に、2016年9月をもって石橋美術館に関わる運営管理の受託を解消することを石橋財団が発表し、石橋財団が所有して石橋美術館に保管されている青木繁『海の幸』をはじめとする美術品960点は、同財団が運営する東京のブリヂストン美術館に移管されることとなりました。久留米市出身の画家の美術品が東京で鑑賞できるようになることは良いことですが、久留米市民にとっては芸術作品が離れていくことに少なからず寂しさがあるように感じます。
ただ石橋文化センターは、美術館だけでなく音楽ホールや図書館を備える複合施設であり、久留米市の芸術文化の拠点としての意義は変わることなく、そしてなによりセンター内に植えられた木々・花たちが四季の変化とともに様々な色を表現し、久留米市民にとって素晴らしい空間を作り出しています。今回、訪問した際にはチューリップやつつじなど花々が迎えてくれました。石橋美術館は「人が集う場」として、とても良いシンボルだと感じました。


初代0系新幹線に会える四国鉄道博物館(愛媛県)

初代0系新幹線とディーゼル機関車

今年は北陸新幹線が開通しました。ぜひとも四国でも新幹線が走る日を見たいと思っていますが、四国に通ってもいない新幹線の実物展示があります。愛媛県西条市の四国鉄道文化館です。ここにはなんと昭和39年の新幹線開業時に登場した初代0系新幹線と四国で活躍した「DF50形ディーゼル機関車」1号機が展示されているのです。「なぜ、新幹線?」という疑問が湧いてくると思います。その理由は、西条市出身の十河信二(とごうしんじ)が第四代国鉄総裁となり、前例のない“夢の超特急”東海道新幹線の建設を実現した功績を称え、つくられた四国鉄道文化館だからです。木造の大きなミュージアムに入ると、新幹線とディーゼル機関車の実物展示に圧倒されます。さらに、新幹線の中にも入ることができ、客車と運転席にも座れます。運転席前のスイッチやレバーも自由に触らせてくれるという大サービスで子どもから大人までわくわくさせられます。新幹線の実物展示は四国鉄道文化館の北館にありますが、南館には朝昼夜と風景が変化する列車運転体験ジオラマがあります。最後には瀬戸大橋をバックに本物さながらの花火も打ち上げられ、迫力満点のストーリー展開になっています。日本で最初の新幹線に会いに四国鉄道文化館で実物展示のパワーを感じてください!

列車運転体験ジオラマ

魅惑の石が眠るターコイズミュージアム

ターコイズミュージアム内部

私は,宝石の研究者でもなければ愛好家でもありません。ちょっと違った目的でアメリカを調査対象にして5年になりますが,そのときに出会った宝石の博物館「ターコイズミュージアム」をご紹介したいと思います。  12月の誕生石であるトルコ石は英語でターコイズと呼ばれます。青色や緑色をしており,不透明な宝石です。トルコでは産出されないトルコ石は,イランや中国,アメリカのアリゾナ州やニューメキシコ等で多く産出されています。 そのターコイズの世界的第一人者であるジョー・ダン・ロウリー氏が主宰する「ターコイズミュージアム」がアメリカ合衆国のニューメキシコ州アルバカーキ市にあります。    アメリカのロサンゼルスに到着してレンタカーを借りて約4,000kmの旅になる調査日程のちょうど半ばにその博物館と出会いました。こんなところに博物館があるのか!?というくらい,アメリカならどこでも見かけるようなショッピングモールの中に飾りっ気もなく潜んでいます(写真1)。入館すると,トップクラスのインディアンジュエリーが多数並び,自由に見学できます(写真2)。とてもターコイズが好きな定員さんが声をかけてくれ,いろいろと説明してくれます。販売には積極的でないので,とても感じのいい雰囲気だったのが印象的でした。 採掘現場の入り口を再現したものが店内にあり,一人10ドルのツアー料金を払うと90分間で店内の奥をガイド付きで案内してくれます(写真3)。当然,そこが博物館のメインです。残念ながらとても厳しい撮影規制があるので,館内のすばらしい情景をご覧に入れることはできません。一日に2回しかツアーはなく,午前11時と午後1時だけだそうです。行かれる方は是非,確認をして行った方がいいですね。 私は運悪く,12時に到着したので,後ほど行く予定であった,近くにあるラトルスネークミュージアム(ガラガラヘビ博物館)を先に行くことにいたしました。ゆっくりこっちも見たかったのに、、、 ツアーガイドは,博物館の主宰者の息子さんがしてくれることになりました。ターコイズに関する歴史にはじまり,科学的なアプローチ,価格などマーケットに関する経済に至るまで,幅広い知識を身に付けることができました。案内の途中にクイズがいきなり始まり,ガイドさんのユーモアも相まって,どこかのテーマパークにでもいるかのような錯覚におちいり,楽しく笑わせていただきながら勉強することができました。  ターコイズには,鉱山によって名前がついており,ビズビーやキングマン,ナンバーエイトなどがあります。写真4の右の石はナンバーエイトで,ガイドの彼に,実際に原石から研磨してもらったものです。私自身でもさらに研磨,加工して,近々ネックレスが完成する予定です。ターコイズミュージアムで博物館の楽しさを再認識させてもらいました。


坂の上の雲ミュージアム

坂の上の雲ミュージアム外観

愛媛県松山市の松山城の麓に「坂の上の雲ミュージアム」があります。「まことに小さな国が開花期をむかえようとしている」で始まる司馬遼太郎の歴史小説「 坂の上の雲」 。そして、その小説の登場人物3人の出身地が松山市です。この館は、その小説の主人公である秋山好古・真之の兄弟と真之の同級生である正岡子規の人生を通して、明治期の日本の姿とこれから進むべき道を考えることができるような展示がされています。設計者は有名な安藤忠雄で、しゃれた三角形のコンクリート造りになっています。館の周りのスロープをゆっくりとらせん状に登っていくと、各展示室に導かれる構造です。ガラス張りの外には城山の緑が美しく、借景の様に計算された景色が楽しめます。明治維新に乗り遅れて朝敵とされ、気候温暖でのんびりとした伊予の国から明治にしっかりと名を刻む傑物が生まれたこと。この小説ではそれを違和感として描いています。それはまた、日露戦争を通して帝国主義の列強に挑むため近代国家にならざるをえなかった当時の日本の必然性や不幸を感じさせるものとなっています。 この「坂の上の雲のミュージアム」のスロープを登りながら、これからの日本が目指す雲はどこにあるのかを考える機会にしていただきたいと思います。


門司電気通信レトロ館

門司電気通信レトロ館外観

福岡県北九州市の門司港レトロ地区は、明治大正時代のレトロモダンな建物が保存されているオシャレ港町です。そんなレトロ地区から、5分~10分程歩いたところに、この門司電気通信レトロ館があります。旧NTT門司営業所の建物の外観は、放物線のアーチと垂直線が基調となっており、バウハウス的な手法が用いられています。本館前には、赤いレトロ調電話BOXがあり、アクセントになっています。
建物の中に入りますと、そこは電話電話電話!映画の世界でみるような電話機に向かって話しかけるタイプの壁掛け電話機や、黒電話、プッシュホンなど、スマホしか知らない若い人が見ると、なんだこれ?的な貴重な電話機がたくさんあります。また、稼働する交換機があり、電話のつながる仕組みについて学ぶこともできます。1990年代の電話機は、やたら丸っこいデザインで、横一列的な面白味のない工業製品なのですが、昔の電話機は、木材が利用されており、暖かみがあってシンプルなデザインです。現在のスマートフォンのLINEのように、スタンプを送ったり無料で通話できたりはできませんが、こんな電話機だったからこそ「電話する」という行為が特別なものになっていたのではないかと思います。古き良き時代を思い出させてくれる素敵なレトロ館。しかも入館料は無料です。ぜひ、立ち寄ってみてください。

レトロな電話機たち